C3A(Cloud Computing Autonomy Criteria)を軸に、欧州のデジタル主権を“議論から実装段階へ”進める上で SAP が果たす役割を強調している。
◆ 概要
2024 年の協力協定以降、SAP と BSI は「安全なデジタル化」を具体的なソリューションへ落とし込む取り組みを進めている。2026 年には BSI が C3A 基準を公開し、クラウド主権(Cloud Sovereignty)を実現するための透明性と実装指針が整備された。 カスパース氏は、地政学的リスクの高まりが欧州のデジタル主権の重要性を押し上げていると述べている。
◆ 1. なぜ今「デジタル主権」が重要なのか
カスパース氏によれば、デジタル主権の議論は以下の要因で加速している:
- 地政学的緊張の高まり(サプライチェーン、データアクセス、クラウド依存のリスク)
- 単に「データの所在」ではなく、
- 重要データセンターの稼働継続性
- 有資格人材の確保
- サービス継続性
- 供給網の安全性 といった システム全体のレジリエンスが問われている
この「危機に備える能力」こそが、欧州が自律的に行動するための基盤である。
◆ 2. C3A(Cloud Computing Autonomy Criteria)の特徴
C3A は、クラウドサービスを 自律的かつ安全に利用するための基準を体系化したもの。
- 技術的・運用的・法的要件を包括
- 直接の規制力はないが、市場に高い透明性を提供
- 公共部門だけでなく、民間企業にも適用可能な指針
SAP は長年 BSI と協働しており、C3A の多くは既に実務で適用されてきた内容を整理したものだという。
◆ 3. SAP が果たす役割
カスパース氏は、SAP を「最初期からの重要パートナー」と位置づけている。 SAP は以下の点でクラウド主権の実現に寄与:
- C3A に準拠したクラウドアーキテクチャの共同設計
- 主権クラウド(Sovereign Cloud)に必要な運用モデルの構築
- 欧州内での安全なクラウド基盤の提供
特に SAP のクラウドインフラは、レジリエンス・透明性・法的自律性を満たす点で、公共部門の要件に適合している。
◆ 4. 「議論から実装へ」:今後の展開
C3A 公開により、クラウド主権は政策議論から実際の運用段階へ移行した。 今後の焦点は:
- C3A を基準とした クラウドサービスの選定と評価
- 欧州内での レジリエントなクラウド基盤の整備
- SAP を含む主要プロバイダーとの 共同実装の加速
カスパース氏は、C3A が「クラウドを自律的に使うための客観的で検証可能な基準」を提供し、欧州のデジタル主権を実質的に前進させる枠組みだと強調している。


